バックパッカー4日目:ライプツィヒへ

tsukihoshi2009-07-23

  • 起床

6時に起床。仕度を整えて、7時から朝食を急いでとる。8時の列車だからね。朝食は昨日のフュッセンのユーゲントのほうが豪華だった。でもふつうにおいしかったよ。
ユーゲントを出発。気持ちが焦っててミネラルウォーターを部屋に忘れてきてしまったが、ちゃんと列車には間に合った。

Erfurt駅でICに乗り換える。昨日乗ったICEが最上クラスで、ICは日本で言うと「ひかり」をちょっとラグジュアリーにした感じ。
さて、ライプツィヒ中央駅に到着。想像してたよりも都会、というか現代的な街みたい。中世的なロマンティックエリアから来たから、余計にそう感じるのかも。でも下町っぽい感じもある。
今日のお宿は駅から徒歩5分の「Central Grobetrotter Hostel」。スタッフは英語が話せて親切で、部屋も共用ラウンジもデザイン良くて清潔、快適。

↑泊まったドミトリーのお部屋。
今回の宿も「地球の歩き方」でみつけた。1人旅を始めてからの宿は全部「地球の歩き方」で探しました。この本、最初はちょっとバカにしてたんだけど、いざ使ってみるとかなり便利。読み物としては楽しくないけど、完全に実用書なんだよね。使ってみて分かるその威力。今さらだけど、バックパッカーの必携本ですね!
ホステルにバックパックを置いて、明日からのベルリンの宿の予約を済ませて、14:30過ぎに街歩きへ出発。

ドイツに行くなら、音楽の都ライプツィヒには必ず行かねば!と思っていたので、来れて嬉しい。


ライプツィヒ歌劇場。黄色い垂れ幕は9月からの新シーズンの演目(モーツァルト。「コジ・ファン・トゥッテ」だったかな?)。入口にライオン像がいてました。


↑歌劇場の前に広がるアウグストゥス広場。

↑広場をはさんで歌劇場と向かい合う形で建っているのが、かのライプツィヒ・ゲヴァントハウス。
歌劇場もゲヴァントハウスも、他の主要オケと同じく夏休み中だったのがほんと残念! でも、これは「また来なさいよ」ってことだよね。

↑有名なワインバー「Auerbachs Keller」の前に建っている、ファウストメフィストフェレスの像。このバーは1525年に創業、ゲーテも通ったのだそうです。中には入りませんでした。

↑街並み。
ちなみに右上の写真はマンホールの蓋です。

  • 聖トマス教会




↑あの大バッハが30年間オルガニストを勤めていたという教会です。「バッハ詣で」なり。

↑バッハ像。



↑パイプオルガン。週に1度オルガンの演奏会があるようだけど、今日はその日に当たってなくて残念。でもここに来れただけでじゅうぶん良いのです。

↑ステンドグラスにバッハがいます。

↑教会の中にバッハのお墓があった。

↑古い楽器も展示してありました。


↑聖トマス教会の向いに、バッハ・ミュージアム。ただし現在改装中らしくて、所蔵物は市内のいくつかの場所に分散して展示しているようだった。だからここも暫定的なミュージアム

↑それでもバッハの自筆譜を見れたのは嬉しかった。なんと「マタイ」の自筆譜もあった!
心行くまでバッハ浸けできて嬉しいかぎり。

  • 街歩き




そぞろ歩いていたら、たまたま通りかかった楽譜店でコンサートのポスターを発見。あ、今夜の演奏会があるじゃないか! ということでチケットを購入。英語ができるお兄ちゃんが親切に会場を教えてくれて、地図までくれた。ダンケ!
ちなみにそのお兄ちゃんに「Tonightのコンサートのチケットを下さい」と言ったら、「Night じゃなくて Evening だよ」と言われた。確かにそうだ、この国の夏は night は短くて evening が長い。カフェやレストランやバーのテラス席で、そして路上や公園や演奏会などで、大人たちはめいっぱい evening を楽しんでいる。そういう文化ってすごく素敵だと思う。魅力的だな。
前述したように、この時期は主要オケはほぼすべてシーズン・オフなので、今回の旅では演奏会を聴けないことが唯一残念だと思っていた。でもこうやって偶然にも演奏会に行けることになって、とてもとても嬉しい。これもまさに旅の出会いだ。
るんるん気分で「メンデルスゾーン・ハウス」を目指して歩く。
が、どうにも道が分からない。歩道の案内標識(「メンデルスゾーン・ハウスはこっち」が、途中でなくなっちゃうんだもの! 地図を見ながらうろうろしていたら、通りがかりのボランティアか何かの活動中っぽいおっちゃん(別のおばちゃんとお揃いの服を着ていた)が、ドイツ語で親切に丁寧に道を教えてくれた。自分が持っていた地図までくれた。ダンケ!
ゲヴァントハウスの脇を抜けて、アウグスタス広場で地図を確かめてたら、ベンチに座っていたゴロツキっぽいおっちゃんが英語で声かけてくれた。なんか皆さん人懐っこいのなあ。やっぱりベルリン人とはパーソナリティが違う感じ。
皆さんのおかげで、何とか「メンデルスゾーン・ハウス」に到着! あきらめなくて良かった。



メンデルスゾーンはここライプツィヒのゲヴァントハウスで音楽監督として活躍してたんですね。
18時に閉館なのに着いたのは17:30を過ぎてたけれど、小さな小さなミュージアムなので問題なく見ることができた。


メンデルスゾーンが使っていたピアノ。

↑自筆譜。

デスマスクと髪の毛。


↑こぢんまりしてて白いきれいなミュージアムだった。小さなお庭もかわいらしかった。

  • コンサートホールへ

満足して、コンサート会場を目指して歩き始めた。
そしたら、さっき「メンデルスゾーン・ハウス」への道を教えてくれたおっちゃんに歩道でばったり再会!「ちゃんと行けたよ、ありがとう!」と言って手を振って別れた。
コンサートホールへは、地図を頼りにすぐ近くまでは行けたのだが、肝心の建物が分からない。通りがかりの人たち2人に聞いて、開演30分前に何とか到着!

  • 夕食

ホールの近くの感じ良さげなカフェで夕飯。

↑ドゥンケル(黒ビール)と、ザクセン風(ライプツィヒザクセン地方)の豚肉スープ・チーズがけを食べた。ウェイトレスのお姉さんが超感じ良くて、親切にも英語でメニューを1つ1つ説明してくれた。居心地がいいのでゆっくりしていたかったけど、コンサートが始まってしまうので急いで食べて、お姉さんに感謝の気持ちをこめて多めにチップを渡し、小走りで演奏会場へ。

  • ユーロ・ミュージック・アカデミー・ライプツィヒの教授による演奏会

「ユーロ・ミュージック・アカデミー・ライプツィヒ」という学校があるらしく、そこのピアノとチェロの教授たちによるコンサートだった。どうやら「ユーロ・ミュージック・フェスティヴァル・ライプツィヒ 2009」という音楽フェスの中の企画の1つらしい。
奏者は、ピアノが Konstanze Eickhorst、チェロがロバート・コーエン。
曲目は、
1.J.S.バッハ「イタリア協奏曲」
2.ドビュッシー「チェロとピアノのためのソナタ 第1番 ニ短調
3.ファニー・メンデルスゾーン「ピアノのためのノットゥルノ ト短調
4.フェリックス・メンデルスゾーン「無言歌 第21番 ト短調 op.53-3」(ピアノソロ)
5.ファニー・メンデルスゾーン「サルタレッロ・ロマーノ イ短調」(ピアノソロ)
6.フェリックス・メンデルスゾーン「チェロとピアノのための無言歌 ニ長調 op.109」
7.J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調
8.ベートーヴェン「ピアノとチェロのためのソナタ 第5番 ニ短調
演奏は、とても素晴らしかった! はるかに期待以上だった。さすがアカデミーの先生たちだけあってめちゃ上手い。
冒頭のドビュッシーチェロソナタがすごく面白かった。メンデルスゾーンのチェロ&ピアノの無言歌は白眉。アンコールのチャイコフスキーの小品もすごくロマンティックだった。
会場の雰囲気は、日本の演奏会よりも柔らかくてあたたかかった。聴衆と奏者の距離感が近い感じで親密で、お互いに対して優しい感じがした。拍手なんかの聴衆からのレスポンスの仕方もさすがで、皆さん抜群のタイミング。そしてそれがすごく自然におこなわれているのがいい。
ああ、ライプツィヒで偶然こんなコンサートを聴けるなんて、本当にラッキーだった! ゲヴァントハウスやベルリン・フィルは日本でも生で聴けるけれど、こういう小さな地元の演奏会は、こうやって自分で足を運ばなければ決して体験できないものだ。とても貴重な、豊かな味わいをめいっぱい楽しむことができた。少し勇気を出してやってみる、トライしてみるってほんとに大事だなあ、としみじみ思った。
面白いエピソード。会場の隣の席の女子としばらく英語で会話していたら、そのコは実は日本から来たピアノの学生だった。このフェスティバルの間だけの学生なのだそう。お互いにがんばって英語で話してた(外見だけでは何語人かは分からないので)のに、日本語で良かったじゃん!と言っておかしかった。確かに会場には楽器ケースを持った学生らしき若者がたくさん来ていた。中でもアジアンが多くて、ドイツ語や英語に混じって日本語と韓国語があちこちから聞こえてきていた。国際的なフェスなんだね。
心底満たされた幸福な気持ちで、帰路についた。
ゲヴァントハウスの裏の、低くなった野外劇場みたいな所でSFコメディみたいなのをやっていた。

↑宇宙服みたいなのを着て演じている人たち。通りすがりの人々が足を止めて、そのへんに座り込んで見ていた。何度も爆笑が起きてたから、ドイツ語が分かれば楽しかったんだろうな。
中央駅でコーヒーを買ってユースに戻った。たまっていた洗濯物をスタッフに預けて、お金を払って洗濯と乾燥をお願いした。なんてありがたいサービス!
部屋に戻ったら、23時前なのに同室のおっさんがすでに寝てて、ねつけないみたいでイライラして周りに当り散らしててイヤな感じだった。そーっと静かに荷物を整えて、寝る支度。でもこれはちょっと運が悪かっただけ、ホステルの責任じゃないしね。
この状況を逆手に取って、23:30に寝た。最近ちゃんと長時間眠ってないから、たまには早寝も良いでしょう。
おやすみなさい。