バックパッカー3日目:フュッセン→ヴュルツブルク

tsukihoshi2009-07-22

  • 悪夢で起床

仕事についてのイヤな夢を見て明け方に目覚めた。妙にリアルだった。仕事のことはすっかり忘れてるつもりなんだけど、やっぱり心のどこか(無意識って奴?)では気になってるんだなあー。

  • 朝食

7時にユーゲントの食堂で朝食。これがあたし的にはめちゃ豪華なビュッフェだった。


↑黒パンにバター、ジャム、チョコレートスプレッド、ハチミツ、何種類ものチーズとハム、濃ゆいヨーグルト、ミューズリー、トマトときゅうり、コーヒー、りんごジュース、などなどが食べ放題。美しい中庭のみどりを眺めながら、おなかいっぱい食べた。
腹が満たされて、身支度を整えて、ユーゲントを出発。


↑さよなら、愛すべきユーゲント。

  • 昨日のおっちゃんに遭遇!

重いバックパックを担いでフュッセン駅へと歩いていたら、なんと昨日ミュンヘンフュッセンへの列車で乗換えを助けてくれたのタイコ腹のおっちゃんが偶然にも車で通りかかって、駅まで乗せてくれた。なんて良い人なんだ。ありがとう!!
列車に乗って北へ向かう。バイバイ、フュッセン、美しい街。

  • 北へ移動

車内に本物のレイダーホーゼンを着てる(履いてる)おっちゃんがいた。さすが南ドイツ。
ブッフローで乗り換えて、アウグスブルクからはICEに乗った。


↑ICEはドイツ版の「のぞみ」。車内のつくりも日本の新幹線と似ている。きれいで、食堂があってバースタンドがあって。窓からの眺めも良くて、リアル「世界の車窓から」を満喫した。というかこれは日本の新幹線よりもハイクラスだわ。すごく快適。
ヴュルツブルク中央駅に到着。

途中は雨模様だったけど、駅に着いたら快晴。ヴュルツブルクはいわゆる「ロマンティック街道」のいちばん北端の町なんだけど、ここはICEも止まるし、中世バリバリではなくて現代と中世が適度にミックスされてる感じの町。
駅の構内で、DB自販機で明日の切符をゲット。ユースに電話して明日の宿も無事にゲットした。
まずは重い荷物から解放されるため、トラムでホステルへ向かう。トラムの車内放送が子どもの声なのがかわいい。

今日のお宿もユーゲントヘアベルゲ(ユースホステル)。

↑ここは昨日のユーゲントよりもさらにきれいで、しかも落ち着いたいい感じの雰囲気がある。

↑ドミトリー部屋はこんな感じ。

↑廊下の窓から中庭を望む。
ユーゲントのすぐ真上がマリエンベルク要塞で、ロケーションも抜群です。

↑窓からマリエンベルク要塞を見上げる。
ここにもサマースクールっぽい子どもたちがたくさんいた。フロントや廊下で私を見ては「ニイハオ!」「コンニチワ!」と声をかけてくる。かわいいサルたち。
さて、町歩きへ出発!

まずはマリエンベルク要塞へ行こうと歩き始めたのだが、モノは見えてても道が分からない。路上に立って地図を見ていたら、自転車で走って来たおっちゃんに怒られた。どうやら私は自転車専用レーンにつっ立っていたらしい。この街は自転車と車が多いので気をつけないといけないようだ。
歩道に非難して引き続き地図とにらめっこしていたら、通りがかりの親切なバイカーが声をかけてくれて、要塞への行き方を教えてくれた。「1時間弱はかかるよ」とのことだったので、とりあえず要塞は置いといて、17〜18時に閉まってしまう町中の教会やレジデンツ(宮殿)へ先に行くことにした。
さっき駅からトラムで来た道を引き返す感じで、街の中心部へと歩き出す。






  • アルテ・マイン橋

観光名所のアルテ・マイン橋を渡る。



↑橋の上には聖者の石像が12体建っている。

↑ふり返ると街の中心部が見える。

↑橋の下を流れるマイン川。

↑対岸の家並み。

  • ↓ドム(大聖堂)

  • 教会の内部

ドムなのかノイミュンスターなのか分かんなくなっちゃったけど、とにかく教会の中。荘厳な雰囲気だった。


  • 再び街歩き




↑こんな壮麗な中世建築の群れの中に1ユーロショップ(100均みたいな店)が普通にあるのが面白い。

レジデンツへ向かう。17:30の入館にギリギリ間に合った。



↑でかい!
さすが世界遺産なだけあって、中は圧巻の豪華絢爛さ。ヨーロッパってすげえ!(宮殿の内部は撮影禁止だったので写真はありません)
18時に閉館なので早足で見て回った。
宮殿の中もすごかったけど、さらに庭園が!! まさに夢のような美しさだった。








みどりのアーチ。城壁に囲まれた石の道。狂ったように咲き乱れる花ばな。
すべてがあまりにも美しすぎて、頭がおかしくなりそうだった。憑りつかれたように写真を撮りまくった。
宮殿の庭園に続く公園も、花とみどりですんごい美しさ。くらくらする。







圧倒的な美に魂抜けしてしまって、しばらく公園のベンチで呆然としていた。水を飲んで深呼吸して、徐々に現実世界に戻ってこれた。

  • 夕食、出会い

荷物が重いのとさんざん歩き回ったのと超ド級の美を大量摂取したのとでくたくたに疲れていたので、夕飯(というかビール)の店を探して街をうろうろした。ガイドブックに載っていた店に行きたかったんだけどたどり着けず、結局は市庁舎下のレストラン「ラーツケラー」へ行った。
テラス席でビールとグーラッシュ。この街はフランケン地方といってワインの名産地なのでワインかビールかで迷ったが、とにかくすっごく喉が渇いていたのでビールにした。

↑グーラッシュは塩辛いがうまかった。黒パンよくと合う。地ビールも当然うまい。
食事の途中でおじいちゃんと相席になり、カタコトの英語で話してたらすごく楽しくて、意気投合してそのまま2時間以上話し続けた。フランケン地方のこと、ドイツのこと、ドイツ語のこと、家族のことなどなどを、私のビールのグラスに敷いてあった紙製のコースターに書きながら、色々と教えてくれた。素朴な素敵な人で、ほんとに楽しかった。
食事とビールをごちそうしてくれて、さらにカプチーノまでいただいた。
かれはフランケンワインの白を3杯、飲んでいた。かれ曰く、この地方のワインは香り高くて口当たりが良いがとてもドライなのだそう。
かれはワインを、すべての感覚を使って味わいながら、ゆっくりゆっくり、ゆっくり飲む。かれとの会話のペースも、とてもゆっくり。21時半頃まで続く長い長い夕方。爽やかな空気。ゆっくり時間が流れる。
今回の旅で私が学んでいる重要なことの1つは、「ゆっくり」だなあ。この国では人に何かを尋ねると、「モーメント!(ちょっと待って)」とよく言われる。何かのことで私が急いだ素振りを見せて、「モーメント!」と言われたことが何度もあった。ヨーロッパは、ゆっくりだ。それは歴史の積み重ねが生み出すものであり、人々の心の、人生のありようでもあると思う。
22時前にようやく日が暮れてきて、テラス席のテーブルにはキャンドルがともされる。とてもロマンティックな雰囲気。こうやって夕方を楽しむのってすごく素敵だ。この前観たウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」の、バルセロナでロマンティックな宵を楽しむシーンを思い出した。私は80歳のおじいちゃんと、だけどね(笑)
かれはその後、私をタクシーでユーゲントまで送ってくれた。別れ際に固く握手をして、来年の夏にまた会いましょう、と言い合った。次に会うまでの宿題として、私は「ケルン」の発音を(映画「マイフェア・レディ」のように!)、かれは「ウィンドウ」の発音(「ドイツ人はうまく発音できないんだ」と言っていた)を練習しておくこと!と笑い合って。とっても素敵な出会い、素敵な夜だった。かれがあれこれ書いてくれたビールのコースターが、この素晴らしい出会いのお土産。ああ、旅っていいなあ。

  • ユーゲントの中庭で

自販機で袋入りのプレッツェルを買い、ユーゲントの中庭で地元の瓶ビールを飲んだ。バックにはライトアップされたマリエンベルク要塞。結局行けなかったけど、代わりに素敵な出会いがあったから、悔しくはない。
このビールはしつこくないコクがあってうまかった。ベックスやベルリナーのようなキレや喉越し・シャープさ・スマートさは薄い代わりに、もっと喉の奥の深いポイントにぐっと来る感じ。これがこの土地の味わいなのだ。ビール(やワイン)の味わいと、その地方の風土や人々の感じ・味(テイスト)は、きっと深く関連してるのだろう。
部屋に戻り、シャワーを浴びて明日の準備。廊下や近くの部屋では子どもたちがはしゃいで騒ぎまくってて、先生に注意されている。先生は何度も何度も根気強く注意して回っているけど、決して声を荒げない。なんか、何度言われても騒いじゃう子どもたちの気持ちも、絶対に怒鳴らない先生の思いも、両方分かるなあ。
今日も素晴らしい1日だった。
おやすみなさい。グーテ・ナハト。