帝国オーケストラ/ベルリン・フィル――最高のハーモニーを求めて

みなみ会館で「帝国オーケストラ」と「ベルリン・フィル――最高のハーモニーを求めて」のベルリン・フィル映画2本立てを友人と見た。
「帝国オーケストラ」からは宿題を山盛りでもらってしまった。ベルリン・フィルナチスの協力者、という単純な図式からではなく、オケ組織に雇用されている労働者(→解雇の可能性)であり、ベルリン市民としては戦争被災者であると同時に、特権として従軍を免除された上で、アーリア人の優越性を証立てるための「名演」を国内外で披露してきたいちメンバーの視点からベルリン・フィルの歴史を問い直す作品だった。戦時中に追放されていったユダヤ演奏家たち、戦後に追放されることになるナチ党員の演奏家たちと共に「純ドイツ音楽」を奏でてきたメンバー(とその近親者)の証言の数々は、加害と被害の多層性、複雑な絡み合いに満ちていた。政治的メッセージを示す映画ではなく、鑑賞者自身が考えるための素材を提供する作品だった。この複雑さ、そこから来るすっきりしなさ、あいまいさ(←音楽は非言語的表現であることも大きい)、気持ちの悪さから逃げずにつき合い続けていくことが、西洋クラシック音楽を愛する私には必要とされるのだと思った。
どぼーんと重い気持ちになった後で、「ベルリン・フィル――最高のハーモニーを求めて」を観た。アジア・ツアーの記録で、訪れた土地の街や人のショットはオリエンタリズムに満ちてて苦笑しきりだったんだけど、そんなことはどうでもいいくらい(ほんとは良くないけどさ)楽しかった! 現在のラトル&ベルリン・フィルが大好きな私はもうわくわくしっぱなしだった。何より演奏に、音楽に、血が沸いた。当たり前だけど本っ当にうまいのなあ。興奮した。
そして、ラトルがいるうちに必ずベルリンへ聴きに行こうと心に決めた。


京都駅まで戻り、地下の東洋亭でハンバーグを食べた。
映画とハンバーグと友人との語り合いで元気になった。ちゃんとやっていける。


その後、専門職団体の研修会に参加した。
帰りは嵐だった。春の嵐