本たち

編入学に向けての準備作業等に追われ、読むと言っていた本は読まず(読めず)、かえって全然読むつもりのなかった本ばかり読んでいる今日この頃でございます。

最近読んだ本(非勉強系)

身体も精神もギリギリの状態で都市生活を送る女子大学院生が主人公の小説。彼女が体験する異様な出来事の数々にもかかわらず、作品に全く湿っぽさがないところが良い。パッと見はグロテスクなシーンでも、呑み込まれていく自分、壊れていく自分、そんな自分を憐れんでいる自分、を心のどこかでは密かに楽しんじゃってる彼女の姿があって、それが強靭なユーモアを生み出している。ポール・オースター(夫)の作品との共通点も多いけど、しかしこの小説は絶対に女にしか書けないものだ、と思った。ちなみに私は読みながら自分の学生生活をありありと思い出しました。20代前半の女性が身一つで世界と向き合おうとする時に体験する激しい混乱、不安、恐怖、崩壊などのテーマが、非常にうまく描かれている。刺激的な1冊。

とても奇妙な「小さい本」の作り手、エドワード・ゴーリーのインタビュー集。同じような発言内容が何度も出てくるのはうっとうしいけど、彼のバックグラウンドを知ることができたのはすごく面白かった。自分はルイス・キャロルらナンセンス文学の系列にいるつもりだ、との彼の発言に深く納得。そして私は細密な描線の絵が好き。ゴーリーの本には私の好きな要素が揃っている。1冊1000円、少しずつ買いだめていこうと思う。

好きな画家、好きな絵画についてのエッセイ集。ホッパー、マティスバルテュスの章が気に入った。マティスの「ヴァイオリンのある室内」は、映画「美しき諍い女」で少女が「春の祭典」(だったか「ペトルーシュカ」だったか)に合わせて庭で踊っているのを窓越しに映しているシーンを、なぜか強烈に思い出させる。これは読むとてきめんに美術館へ行きたくなる1冊ですね。血中美術濃度が低下ぎみの方はどうぞ。
そして現在は伊勢崎賢治武装解除 紛争屋が見た世界」を読み中。これを読了後に「広告批評」2・3月号(特集 憲法9条)へ進むのが良いコース取りかも、などと思いつつ。