研修3日目

8時に行けば良いのだけど、7時半には施設に到着して共有スペースで「目覚ましテレビ」をみんなと一緒に見る。利用者さんの不明瞭な発語にも少し慣れてきて 何をお話ししようとされているのかをちょっとずつ推測できるようになり、昨日よりも多くの方たちと会話らしきものを交わしながら時間を過ごせている自分に気づいた。午前中は利用者さん4人と外出。本来は屋外を散歩する時間なのだけど、あまりの暑さに予定を変更して車で近くの港へ向かう。わが街は日本海からほんの少し南に入った所にあるので、ちょこっと車を飛ばせばすぐ海沿いへ出られる。ぎらぎらの日差しに光る田んぼ道を抜けて辿り着いた日本海は、魚が泳ぐ姿がずっと下まで何層にも透けて見えるほど綺麗だった。利用者さんたちはどの方もほとんど表情は変わらないけど、この強烈な日差しやまぶしい緑や潮の匂いや無数の魚の動きなどは、きっと心のどこかで感じとられているはず、と思った。午後は午前とは別の利用者さん4人と、施設が所有する近所の一軒屋へ出かけて行って七夕の飾りを作る。字を書ける方も書けない方もそれぞれに短冊に好きなことを書き、折り紙や薄紙の飾りにひもを通して笹に結びつけた。なかなか立派な七夕飾りが出来上がった。幸い今夜は雨も降らなかったので、みなさんのお願いはきっと天に届いてますよ。1億円当たるのはちょっと無理かもしれんけど。
3日間という短い期間だったけれど、実に多くのことを学ばせていただいた。わけても今までは本の中の言葉として、または頭の中の概念としてしか理解できていなかったことを 自分の体験を通じて捉え直すことができたことは、本当に貴重だったと思う。「ノーマライゼーション」って何なのか、「障害は個性」ってどういうことなのか、「障害者の人権」とは何か・・・。これから勉強していく上で、今回ここで学んだことはすごく大きな意味を持ってくると思う。来させていただいて本当に良かった。職員の方の1人に「Kさん(私)はこういう施設(=障害者施設)に関わるのは初めてじゃないんでしょ?」と訊かれ、「いえ初めてです」と言うと「え、そうなの? 初めてとは思えないよー」と言っていただけたので、私が感じた充実感や楽しさも全くの独りよがりというわけでもなかったのだと思う。
帰り際には施設の玄関に通じる廊下の両側に お手すきの利用者さんたちと職員の方々が並ばれ、森山直太郎の「さくら」のBGMにのせて 通り過ぎる私にチラシ製の紙ふぶきを撒いて見送ってくださった(掃除するのも大変でしょうに)。ちょっとこういうのって嬉しすぎる。来週、施設の夏祭りに来ますね。そしてできればボランティアとしてまたみなさんに会いに来たいと思っています。どうぞその日までお元気でお過ごしください。