アステアみたいに、ステップ踏んで。

BS2でオードリー・ヘップバーンフレッド・アステア主演の「パリの恋人」をやっていて、つい最後まで観てしまった。1950年代のハッピーでキュートなミュージカル。冒頭の映像があまりにカラフルで素敵だったのでTVの前から動けなくなり、結局そのまま私・母・祖母の3人で終わりまで観てしまった。そうは言ってもオードリーがもう信じられないくらいに可愛らしくて美しくてっていう程度の映画なんだろうなあとタカをくくっていたのだけど(もちろん信じられないくらい可愛いけどさ)、いやいやどうして「見せる・聞かせる」場面がたくさんあって楽しめましたよ。アステアの超絶ステップ&ダンス&歌いっぷりは言うまでもないけれど、特に驚いたのはオードリーのダンス。映画の中盤でフリーな感じのジャズに合わせてモダン・バレエっぽいダンスをする場面があって、しかもスロー・テンポで結構長く踊るのだけど、これがなかなかすごかった。踊りのテクニックとして上手いのかどうかは分からないけれど、とにかく画面に惹きつけられる。そういう意味ではものすごく上手いと思う。オードリーさんがこんなダンスを踊れる方とは知りませんでした。すみません。
そして作品中の歌も本当にいいな、質が高いなと思っていたら、音楽担当はなんとガーシュインだったのでした。これも知りませんでした。すみません。そりゃあ良いはずだわ。
そんなわけで、観終わった時には母親も祖母も私もすっかりハッピーな気分になっていたのでした。50年前に作られたフィルムを3世代が同時に観て楽しめるなんて、やっぱりすごいことだと思う。(もっとも祖母は観終わるまでオードリー・ヘップバーンがどの人なのか分かってなかったみたいだけど。それもすごい。)
私にも、別れ際にケンカしてしまったそのすぐ後で私の部屋のバルコニーまで外からよじ登ってきて、狭いバルコニーと階下の中庭で歌いながらステップ踏みながら踊って愛を語ってくれるような、恋人が欲しい。バルコニーやら中庭やらがあるような所に住めるわけないじゃんとか、それってストーカーじゃない?とかはどうか言わないでください、今だけは。