天橋立ツアー

tsukihoshi2009-07-09

朝から友人2人と遠足。レンタカーで天橋立へ出かけた。
市内を抜けるとすぐに、山、木々のみどり、畑、田んぼ、川に囲まれる。車から見える景色と心地良い風で、すでに気分は最高。天気はくもりでちょうどいい。
昼過ぎに宮津に到着。駅前の居酒屋的な店で刺身定食を食す。店は平日昼間なのに大盛況で、地元の人たちに人気の繁盛してる店だと分かった。定食は魚も貝もしらすも味が濃くてうまかった。隣の席のおっちゃん連中が、たぶん漁師で仕事上がりなのだろう、ビールですでに出来上がってて、酔っ払って友達に電話とかしててすごい面白かった。
おなかが満たされて出発、天橋立へ。
車を降りてからは、観光客らしくソフトクリームを食べながら歩いた。
橋の下の海がすごく澄んでいてきれいだったので驚いた。

↑薄いグリーンと青が混ざった透明な水。チヌや小魚やクラゲが泳いでるのが橋の上からよく見える。
ああ私あのクラゲになりたい、と思った。ぷかぷか浮いて。水の流れのまま、身を任せて漂って。何も考えず、というか考えるとか行動するとかいう概念から完全に解き放たれて。ぼんやりと、ただただ流れのままに。
とか橋の上で話していたら、背後から飛んできたとんびに友人がソフトクリームの上半分をもぎ取られた。友人は悔しがってたけど、まあ目を突かれたりしなくて良かったじゃん、となぐさめる。一瞬のスキを突いたとんびの早業、お見事!
松林を抜けて海岸へ進む。久々に踏む砂浜。久々に感じる海。日本海はやっぱり懐かしい。水に触ってみたらかなり冷たかった。
少しの間波と戯れてから、海の背後の山の上にある「ビューランド」という遊園地的な施設へ向かった。
山上へはリフト(スキー場のリフトと同じやつ)かケーブルカーのどちらかで登る。どちらも同じ料金なので、「だったら当然リフトでしょう!」という話になってリフトに乗った。リフトなんて何年ぶりだろう?学生時代に夏の長野で乗っただろうか?もしかしたら10年以上ぶりだったかもしれない。生身のままイスに座って、足をぶらぶらさせながら急勾配を運ばれていく。楽しい! 全身に感じる風が気持ちいい。振り向くと天橋立の全景が見下ろせる。日本海に突き出した細長い松林の半島。絶景。
頂上に到着すると、「ビューランド」はうわさに聞いていた通り、うらぶれたすごく小さな遊園地だった。遊園地なのにめちゃ静か。でも不思議と荒廃した感じはなくて、スタッフの人たち(客の少なさに対してやけにスタッフ数が多い)も投げやりな感じとかは全然ない。すごい独特の空気と時間が流れている。

↑アトラクションがいくつかあるけど、どれも小さくてしょぼい。
と思っていたら、ミニコースター(「マッドマウス」という名前)に乗った友人が「カーブで振り落とされそうだった!リアル怖かった!」と言ってたのでおかしかった。

↑ミニ観覧車に3人で乗った。見下ろす天橋立は絶景。
園内のベンチでお決まりの「またのぞき」もしましたよ。天地をひっくり返して見るって面白い。これを考えついてやってみた人って天才だわ。
シュールで不思議な遊園地を満喫した。間違って現実から30センチくらいズレた異次元空間に放り込まれたみたいな体験だった。これから天橋立に行く方はぜひ立ち寄ってみることをお勧めします。
再びリフトに乗って下山。下りは正面の眼下に天橋立が広がる。ふもとに着いたら異次元から現実世界へ無事に帰還した感じがした。
その後は車から海遊びセットを持ち出して、再び海岸へ。

あたしは足だけ海に入った。水はほんとに冷たい。アパートの水道の水なんかよりずっと冷たい。波は面白くて不思議で強くて怖い。
友人2人は、冷たい!寒い!と叫びながら、海に入って小魚取りに励んでいた。無邪気だなあ、微笑ましいなあ、と思いながら、あたしは浜辺に敷いたゴザの上でその様子を眺めていた。
駐車場が閉まる時間が近づいたので、寒がる友人たちと撤退。今日の成果は小魚10匹。
次はもちろん温泉へ。当たりをつけていた2軒はお休みだったけど、3つ目にすごくいい感じの立ち寄り湯を見つけた。入口脇の足湯のあまりの気持ちよさに、早くも3人とも「魂抜け状態」になりかけた。外観も中もきれいで清潔で、風呂の温度もちょうど良かった。温泉は金沢1人旅で入って以来。女湯は私1人だけで貸し切り状態だった。当たり前だけど、温泉って銭湯とは全然違うんだなあ。体の中にたまっていた何かがお湯にどんどん溶け出しいって、代わりに温泉の栄養みたいなものが体に染み込んでいくのを感じる。露天風呂で心地いい風に吹かれながら、ひたすらぼおーっとして、湯に入ったり出たりをえんえん繰り返して。自分の体や意識の輪郭がなくなっていって、湯と空気と一体化したような感じ。あまりの心地よさに忘我の境地。私に必要なのはまさにこれ、この体験、この状態だったんだなあ。
風呂から上がって友人たちとこの言わく言い難い幸せ感をかみしめた。
すっかり暗くなって帰路についた。途中で中華料理店に寄って、友人たちは夕食。私はおなかが空いていないので杏仁豆腐を食べた。ちゃんとおいしかった。
23時前に無事にアパートに帰ってきた。
これ以上ないというくらい存分に楽しんだ1日だった。心身ともにこの数ヶ月間渇望していたものが満たされた感じ。
心地良い疲れで、何ヶ月ぶりか分からないくらいちゃんと眠くなって、熟睡した。幸せだ。