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有元利夫 絵を描く楽しさ (とんぼの本)

有元利夫 絵を描く楽しさ (とんぼの本)

有元利夫さんの画、とても好きです。有元さんの画にはエクスタシーがにじみ出てるけどエロティックではない、にもかかわらずなんかバルテュスに通じるものを感じるんだよな〜。なんでかな。と思ってたら、お2人ともピエロ・デラ・フランチェスカから大きな影響を受けておられたんですね。なるほど。(余談:私は「影響を受けた」というコトバを使うたびに、学生時代にT大の金田千秋氏が芸術学の講義で「『〜に影響を受けた』という表現は曖昧すぎて何ひとつ説明したことにはならないから極力使わないように」と言っておられたのをいまだにいちいち思い出す。)
有元さんの文章を読んだのはこの本が初めてだったんだけど、すごく面白かった。様式の美や快について、バロック音楽の歓びについて、「配達される才能」の話などなど、読んでてずんずん腑に落ちてくる。私がヴィヴァルディやテレマンの音楽を演奏する時に感じる独特の気持ちよさを、うまく言語化してくれた文章に初めて出会えた気がした(そういえば、私が有元さんの画を初めて知ったのは、寺神戸亮氏のCDジャケットでした)。
めっちゃ賢いんだなあこの人。だいたい作品の題名のセンスのよさが尋常じゃないよね。しかも理論武装系じゃない類の賢さってとこが素敵。自己決定しないことの快@立岩真也氏みたいなのに絡めてぽすともだーんな語り方もしようと思えばできるんだろうが、有元作品にそんなコトバづけをするなんざぁ野暮ってもんです。
しかし、この方も若くしてアルコールで生命を落とされたのかと思うとつくづくやるせない。
滋賀でやってる展覧会行きたいなあ。