アリス

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

私は「アリス」のお話の偏愛者なので、原作との細かい違いも含めて楽しめました。白ウサギやトカゲのビルがぬいぐるみっていう設定はありがちとしても、そいつらの腹から詰め物(砂かおがくずみたいなの)がどさーっとこぼれ出たり、それを食べたり食べさせたりするのがシュールだった。ウサギ穴は机の引き出し、芋虫は靴下、クローケー用のハリネズミは針山になってました。(今書いてて気づいたけど、机の引き出しに入っていったらそこは異世界・・ってドラえもんのタイムマシーンと一緒じゃん! もしやシュヴァンクマイエルさんドラえもん好きだったとか?)
缶詰を開けたら中から虫がうじゃうじゃ出てくるとか、公爵夫人邸の蛙の使用人が長い舌を何度も飛び出させてハエを食べ回るとか、そういうダイレクトなグロい表現は意外と少なかった。全体的にグロさよりもシュールさのほうが勝ってる感じ。
物語全体が家の内部で展開してるのも、アリスの睡眠中の夢というより覚醒時に家の中で見た幻覚みたいな感じで、気に入りました。アリスが目覚めても、部屋は相変わらずうす汚くて、1人カップの紅茶に小石を投げ入れる遊びを続けるしかないような家。白ウサギのぬいぐるみはいないし。不穏な空気のまま終わるのが良かったです。
チェシャ猫と公爵夫人とグリフォン&ニセ海亀が出てこなかったのは残念だったけど、じゅうぶん異世界にトリップできました。でもきっとこれロリコン男に消費され続けてきた映画なんだろうなあ・・。そう思うとつらい。この映画面白かった言うことはきっとPC的・フェミ的・シャカイフクシ的にはNGなんだろうな。ううう。
ちなみに私は中学生の頃はあのテニエルのアリス挿絵グッズを収集するほどのはまり具合でした。ああいう線が細かいグロテスクな雰囲気の画は今も好きで、ゴーリーの画が好きなのもそこから来てるんだろうなー。