百水さん

べてる講演は午後3時からという半端な時間設定なので、午前中は念願のフンデルトヴァッサー展を観に京都国立近代美術館へ行きました。というかむしろこっちがメインだったかも。
会期は明日までなのになんか今までタイミングを逃して行けてなかったので、念願かなって良かったです。
感想。予想以上に凄い作品世界でした。色彩、モティーフ、構図、どれもほんとに強烈。人の心の、相当奥底のほうの世界を描いているように感じた。この人はこんな画を描いてしまって大丈夫だったんだろうか? いやむしろ描いてたからこそ大丈夫でいられたのかな。
私はとりわけ、連作「雨の日に見てごらん」の中の「A RAINY DAY ON A RAIN DAY」(だったかな?)という画に完全にやられてしまった。なんていう青、なんていう闇。生まれて初めて、この画が欲しい!と本気で思った。思ったところで無理なのはもちろん分かっちゃいるけど。ただ美しいとか、ただ気に入ったとかいうことじゃなくて、私はその画は私のために描かれたものだと感じた。んなわけないことは知っているけど、そんなことはさして重要じゃないのです。現実問題としてその画は買えないけど(当たり前だ)、自分のための画に出会えたことに今日は感謝したい。
ところで、多くの作品の余白に「百水」の印字(ハンコ字)があったのでなんだこりゃ?と思い続けてたんだけど、フンデルトヴァッサーって「百の水」って意味なんですね。すてきな名だ。

これ↑は今回の入場チケット。ここの美術館のチケットは文字がタテ書きで格好いいのです(しかしよく考えたら、チケットデザインのださい美術館ってどうなのよって感じですよね)。百水さんが両指で支えてる棒みたいなのは、定規です。実は先端をぐにゃっと曲げちゃってます。これは、百水さんの信条「直線は私たちの文明を没落へと導く」を表したものみたい。いかしてるね。
ひととおり観終わってから、上の階(4階)へ移動。まったりスペースのイスに腰掛けて、展望窓から平安神宮の巨大鳥居とお向かいの京都市美術館とその向こうの山々をしばらくぼーっと眺めた。ああ良い景色。午前中の激しい雨もやんで、低い黒雲が風に吹かれて流れていって、次第に青空が顔を覗かせる様子はすごく美しかった。雨に特別な思いを抱いていた百水さんの作品を観た後でこういう景色を見るのは、なかなか良い流れだったのかも。
4階では常設展を見た。以前来た時にじっくり観たので、今回はざっくり回った。長谷川潔さんという方の版画が印象に残った。
その後またまったりスペースに座って、図録の本棚にあった草間彌生の作品が載っている本を読んだ(見た)。草間さんの作品も、まだ2点だけしか実際に観たことないので、もっと体験したい。
ミュージアムショップで売ってた今回の図録、良ければ買うつもりだったけど、本物体験が強力すぎてうまく図録上の写真とオーバーラップさせられそうになかったので、やめた。代わりに、長谷川潔さんの作品のポストカードを2枚買った。