其の7

  • パトリシア・ディーガン(長野英子訳)『精神科医との面接で自分の力を発揮するために』(RAC研究会、2005年)

「精神病」者が「精神医療ユーザー」として精神科医との面接を主体的に活用できるようになるためのポイントを、当事者(コンシューマー=プロバイダー)が記した本。著者ディーガン氏は10代の時に統合失調症の診断を受け、その後臨床心理学の博士号を取得し、米国マサチューセッツ州でNational Empowerment Center(精神障害をもつ当事者が運営する支援組織)を仲間と創設した方とのこと。
本書の記述はきわめてシンプルで具体的、実際的で、しかもコピーして使える記入シートまで付いていて、本当に役に立つ「使える」1冊だと思う。しかし、実用性が高いということは、本書の内容のレベルが浅いということを意味するものでは決してない。それどころか、本書にはコンシューマー=プロバイダーでなければ語りえない、体験に基づいた深く力強いメッセージがぎゅっと詰まっている。精神医療ユーザーにはもちろん読んでほしいけど、それ以上に精神医療プロバイダーにこそ読んで欲しい本です。