「フリーター漂流」

数日前に録画しておいたNHKスペシャル「フリーター漂流」という番組を見た。過酷で悲惨な労働条件の下、工場で働く20代・30代のフリーターの人々を追った内容だ。彼らは工場主のメーカーに雇われているのではなく、メーカーから作業を丸ごと受注しているいわゆる「請負会社」に雇われて働いている。請負会社はメーカーからの急な生産ライン変更などに対応するため、自社で雇用しているフリーターたちをその都度ぽんぽんと違うラインへ飛ばしていく。それゆえ、請負会社で働くフリーターたちはむちゃくちゃ変動が激しく厳しい条件下で働かざるをえない立場にいる。当然辞めていく人たちも多いが、職を求めて応募してくるフリーターの数は退職者をはるかにしのいで多い、らしい。
実は番組に出ていたその請負会社、学生時代に就職活動で回ったうちの1社なんだよねー。でも人事担当者が「就職試験ではあなたのご両親の名前を漢字で書いてもらう問題を出します」と言っていて(なんじゃそりゃ?!)、すごい胡散臭い空気を感じたので結局説明会に出ただけでやめといたけど。やはりやめておいて正解だった、と番組を見て思った。というか、学生時代はそういう請負会社も含めて人材業界に興味があって1社から内定ももらいそっち方面で働こうかとすごく迷ってたんだけど、この番組を見てああ私はそっちへ行かなくて良かったんだなあ、と思った。きっと入っても3ヶ月くらいで辞めてただろうと思う。(注:あくまでも私の場合は、ね。人材業界そのものを悪者扱いしているわけではありません。むしろ「フリーター自己責任論」から今回の番組みたいな「フリーター被害者論」へと世論が変容していく中で人材業界が「悪者」として立ち上げられてきている、そうした問題全体の構造を考えなければならないと思っています。)結局私は人材業界とはまったく違う業界の企業に入ったのだけど、いろいろとめぐりめぐって今こうしてフリーターの問題や労働の問題をあらためて考えようとする立場にきているわけで、まあ回り道と言えば回り道だけどこれで良かったんだろうなあと、思った。
そして番組でクローズアップされていたフリーターの人たちを見て、私は私なりのやり方で正面から問題と向き合っていかなければならないと感じた。勉強します。