連休その4:帰省2日目

tsukihoshi2009-05-05

緑を見たくて。ドライブしたくて。連休っぽい、「家族」っぽいこともしてみたくて。私の希望で、両親と祖母と一緒に車で大山へ出かけた。
実家の人々と遠出するなんて何年ぶりか分からない。まして私からのリクエストでなんて、おそらく15年以上ぶりだろう。でも深く考え始めると大変になるので、思考はストップして一緒に出かけた。
途中で「藤寺(ふじでら)」と呼ばれている寺に寄った。境内の藤の花がほぼ満開。頭上の藤棚から垂れ下がる何千もの花。

↑藤のシャワーを浴びているよう。甘い匂いに蜜蜂も空中散歩していた。
大山のふもとに近づいていくと、国道の片側には日本海があらわれる。左を向けば日本海が広がり、右を見れば大山がそびえる。
大山は新緑がまぶしく輝いていた。生気に満ちて雄大で、つくづく美しい。
登山道のたもとの駐車場で車を降りる。辺りの空気が町とはまったく違う。ひんやりしていて緑の匂いがする。毎年夏に志賀高原へオーケストラの合宿に行っていた学生時代、を思い出したりもした。
土産物店の2階のレストラン(というか食堂)で昼食。もちろん蕎麦定食。100%観光客向けの店なのでまるきり期待していなかったが、蕎麦も天ぷらも豆腐や和え物や漬物などの小鉢あれこれも、意外とおいしかった。すごいボリュームで「こんなに食べられない」と皆言っていたが、全員完食。
食後、私と母とで大山寺へのぼる。長ーい坂道と階段を上がって上がって。拝観料を払ったら寺のパンフレットと一緒に「大山寺」と書いたせんべいをくれて、たかだか平凡なせんべい1つなのに何だか無性に嬉しかった。

↑こぢんまりした境内には特別なものは何もなかったけど、母とここへ来たということじたいが貴重な記憶として私の中に残り続けるのだろうと思う。
坂道を下りて再び車で進む。さっきもらった大山寺せんべいを車内でぱりぱり食べる。途中で母とソフトクリームを買って食べた。甘くて冷たくてミルクが濃くてうまかった。
帰り道、私の希望で植田正治美術館に寄ってもらった。植田正治鳥取砂丘で撮った写真の数々が特に有名な写真家(注:社会福祉やケア論に縁のある方→鷲田清一の『「聴く」ことの力』に載っている写真を撮った人です)。祖母は歩くのがしんどいので車イスを借りて、私が押しながら作品を見て歩いた。砂丘の演出写真のイメージが強かったので、「モダンで計算し尽くす構成美の人」という印象を強く持っていたのだけど、ここでたくさんの作品を見ていくうちに、この人は「土地と人間と写真」にどうしようもなく魅せられて、その三者の結びあいをひたすらに追いかけ続けた人だったのだなあと感じた。
美術館の3階の窓から切り取る大山はちょっと澄ましたよそ行きの顔をしていた。
たぶんずっと記憶に残るだろう、家族旅行だった。