ミルク

公式サイト→ http://milk-movie.jp/enter.html
冒頭の警察による弾圧のシーンですでに半泣きになってしまった。
すごくよくまとめられていた、完成度の高い映画だった。当時の実際の映像の使い方や、音楽もよかった。すべてが、すごくうまい。
私は「ハーヴェイ・ミルク」(ドキュメンタリー)を観て強烈な衝撃と感銘を受けていたので、それをしのぐ何かをこの映画から得られたとは特には感じられなかった。だが、カネを集めてカネをかけて一流の監督と一流の役者がこういう映画を作り、それを観客が支持し、業界がアカデミー賞を与えたという事実に、アメリカという国が持つポジティブで健全な底力みたいなものを感じた。黒人公民権運動、ゲイ・ムーヴメント、フェミニズム、現大統領の誕生、そうした歴史の歩みとそれを可能にした人々の力を、そして道半ばで死んでいった人々のことを思った。
そうそう、私が信奉するカリフィアが「パブリック・セックス」で書いていた「アニタ・ブライアント旋風」のことが、今回この映画を観てリアルに分かりました(アニタ・ブライアントは70年代後半にカリフォルニア洲で、キリスト教右派の位置から反同性愛運動や反ポルノ運動を先導した。) リアルに感じたら、後からじわじわと背筋が凍っていくような恐怖を覚えた。アニタの笑顔(「ハーイ、アニタです」)、アニタの断言(「あなた方は異常だ、間違っている、邪悪だ」…)が頭にこびり付いて離れない。夢に出てきそうだ。
戦いは続いている。戦い続けていくしかない。

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

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パブリック・セックス―挑発するラディカルな性

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