2009-01-18 セーヌの川辺 読む セーヌの川辺作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/09/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (9件) を見る私は池澤夏樹のエッセイは「南洋もの」が苦手でしばらく読んでいなかった。ジャック・マイヨールと一緒にイルカやクジラの側で潜ってどうのこうのとか、沖縄のなんとか言う食べ物がうまくてどうたらとか、そんなふうに無邪気に書かれてもなあ…と困惑していた。文章もなまあたたかい感じでどうしても好きになれなかった。 だが久々に読んだこの『セーヌの川辺』は良かった。まず文体の感触が冷たくて引き締まっていて清潔。そして過度に感覚や感情に流れない科学者の目線。移住したフランスでの生活からうまれる様々な問いと推論。 1つ前のフランス移住後エッセイ「異国の客」も読んでみよう。