エンパワメント、ストレングス、お次はレジリアンス。

サバイバーと心の回復力―逆境を乗り越えるための七つのリジリアンス

サバイバーと心の回復力―逆境を乗り越えるための七つのリジリアンス

最近の暴力サバイバー向けの本には必ずと言っていいほど参考文献に挙がってる本なので期待して読んだんだけど、私にはあまり得るものはなかった。だんだん興味を失いながら読んでたので読了するまでに2ヶ月もかかってしまった。
「病理学的なダメージモデル」から「ストレングス視点に基づくチャレンジモデル」への転換を提案したことと、サバイバーのレジリアンスを可視化・類型化したことにはそれなりの意義はあると思う。
でも。
「あなたにはこんな素晴らしい能力があるんですよ!」って言われても。「だから誇りを持って! 前を向いて生きていってね!」って言われても。
サバイバーはそういう「能力」を、何も好きで身につけたわけじゃないんだよ。苦しい状況の中で自分自身の他に頼れるものなんて何1つなくて、それでも死ねなくて、死ねないなら生き続けていくしかなくて、鼻と喉の奥まで水で塞がれながら必死でもがいている中で身につけた、身についてしまった「能力」なんだよ。
そんな「能力」なんかなくても生きていけるほうが、どれほど良かっただろう。そんな「能力」なしで生きていけてる人を、どれほど羨んだことだろう。
サバイバーが本当に助けを求めていた時には目もくれずにいたのに、今さら安全な位置から「よくやったね」「よく乗り越えたね」「おめでとう」「よかったね」と賞賛するあななたは何者?
サバイバーに身につけさせた「強さ(ストレングス)」を「エンパワメント!」と得意がっているあなたは誰?
訳文も少し読みづらかった。研究者や専門職(ソーシャルワーカーや心理カウンセラーなど)向きの本だと思う。高い(4400円)しさあ。