阪急電鉄のあじわい

我が家に来た方はご存知でしょうが、今私が住んでいるアパートは阪急電鉄の線路とわずかに1筋のみ隔てた距離にあります。
引っ越した当初は これから始まるであろう電車と踏み切りの騒音に満ちた日々を思ってげんなりしていましたが、幸い実際に住んでみるとそれほどうるさく感じることはありませんでした。
むしろ私はじわじわと阪急電鉄に愛着を持ち始め、その走りゆく音も好ましく耳に響くようになっていったのです。


阪急電鉄(以下「阪急」)の良さは、その独特な「ゆるい」雰囲気にあります。阪神電車のように雑多でなく、JRのようにビジネスライクでもない。阪急は、決して東日本の人が想像しがちな「ハイクラスの方々」が乗る電車ではなく、ごく普通の人たちが「ちょっとそのへん」へ行くのに利用しているものです。


渋いあずき色の車体に、抹茶色の座席。
かなりゆったりと幅の広い車内では、宝塚歌劇団の吊り広告が揺れている。
JRに比べるといささか遅い「特急」に揺られながら、神戸へ、大阪へ、そして京都へと通い続けた私のこの1年半。車窓から見えた神戸の山並みや大阪の街、そして京都の田園風景は、ここを離れても鮮やかに私の目に浮かぶことと思います。


いつかまたこの地に帰り、阪急に乗って西へ東へちょこちょこと動き回れる日が来るといいな、と思います。